控え室のソファで虚脱状態になっていた団長ギルヴィエラ・ハンは、自分の端末が振動していることに気づいた。
いやな予感がする。ついコールを無視していると、間をあけずメッセージを受信した。しぶしぶ開ける。
〈緊急事態発生。休憩は一時間で! サイレ〉
「おォォィ! ……は?」
ついでに、市が発信している緊急ニュースのメッセージが目に入ったギルヴィエラは、そこに書かれた内容に目を疑った。
アカデミア前の広場を市警察が封鎖。トリゴナルBからの移民で著名な天文学者であるシファ・アーマディー女史が、市長令嬢のイヴ・クロカワ嬢を人質にとり、第五階層の〈オペラ〉で現在公演中の学生オペレッタのヒロイン役、ラケルタ・ノヴァリ嬢を呼びだしたと。
「マジか」
「ええッ? イヴ? ラケルタ?」
むこうでアイバンが動転している。ほかの団員も緊急ニュースに気づいて騒ぎだした。
「……まぁそれなら、休憩一時間でもしょうがねえ、よな……」
いいのか悪いのか、今日は一日のはじまりから彼らに振りまわされているギルヴィエラには、もはや何がなんだかわからなくなってきた。
「とりあえず、待つか」
