あのころわたしたちは、今よりずっとおしゃべりだった。
ものいわぬ満天の星々の下で、わたしたちはいつから言葉をかわしていたのだろう。
ふと気づいたとき、わたしはあなたに話しかけ、あなたはわたしに答えていた。わたしはあなたの話すことすべてに興味をもち、ありとあらゆることを尋ねた。あなたはすべてを知っていて、ありとあらゆる言葉でわたしに答えた。
この世界に、あなたの知らないことは何ひとつなかった。少なくとも、わたしはそう信じていた。
でも、本当はわたしと同じくらい何も知らないこと、何も知らないままいなくなろうとしていたこと、あなたが知っている数少ない言葉のすべてを駆使して答えてくれていたことを知ったとき、わたしはあなたに恋をした。
わたしはあなたに恋をした――あなたが変わらずわたしの問いかけに答えながら、静かに去ろうとしていたそのときに。
やがておとずれた静けさのなか、わたしはあなたの言葉を思いだす。
消えゆくあなたの最後の言葉。
その前日の言葉。ぽつりぽつりと、つぶやくように。
前の前の日、来るべき日をおそれて、あなたの声はふるえていた。
もう少しまえの日に、あなたがほほえみにのせた言葉や……
初めてあなたをみつけた日、あなたの唇が発した言葉を。
そのときのわたしには、あなたの言っていることはこれっぽっちもわからなかったけれど。
――きみ は だれ?
わたしは、あなたの言葉から生まれたの。
