第3話 小さな反逆
「何をおっしゃっていますの? オースティンさま」 少女の影は、愛らしく小首を傾げる。だがその仕種も、少年には策略の一端としか見えなかった。これまでも、女の媚びには幾度となく遭遇してきたけれど、たったいま眼前で無邪気ぶるものほど、彼の目にあざ…
精霊呪縛二部
第2話 炎抱く姫
アグラ宮殿に足を踏み入れた直後、空が晴れてきた。 灰色の雲のあいまに薄い青がのぞいたかと思うと、あっという間に目の醒めるような群青がひろがった。オースティンは柱廊を進みながら、鮮やかさを増していく庭園を眺めやる。あたりが明るくなるにつれて…
精霊呪縛二部
第1話 英雄の子ら
幼いころは、何ひとつ呪っていなかった。 己の血も、最初から定められた運命も、すべては当たり前のことであり、とりたてて騒ぎたてなくともよかった。大人になる前に祖国を離れなければならないのも、将来の自分にあらかじめどこかの国の姫君が用意されて…
精霊呪縛二部